宮古弁 / 行別一覧
宮古弁「あ」行
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あ
語句一覧
アウェーコ
間。奥まった小道。「アウェーコチョー」で奥まった路地にある町、区画。俳句や短歌など使われる古語の「あわい(間合)」という語句が転化し東北方言の特徴でもある「コ」がプラスされたもの。古語的使用法だと「木々のあわいから海が見える」「梢のあわいを鳥が飛ぶ」というふうに使われる。また「コ」は、その言葉で表現される間隔や空間がさほど広くなく、こじんまりした区画であるイメージを伝えるため接続された装飾と思われる。一般に宮古弁で語句の後ろに「コ」や「ゴ」を装飾として接続する場合は、愛おしい、可愛らしいなどの含みがあり、「トリコ/小鳥」「サガナッコ/小魚類」「メンコ/可愛い」の他「サゲコ/酒」「ビンコ/びん」などがある。
↑ あの語句一覧へ戻るアオズス
カモシカの総称。「青鹿(しし)」という意味になるが、実際のカモシカは季節によるが暗いベージュのような毛色だだ。これらの動物の毛色表現は馬の毛色による分類から流用されているようだ。馬の場合、青毛や青鹿毛はほとんど黒い毛色をさすが、季節によって白い毛が混生したり、馬齢を重ねると次第に白毛が多くなり芦毛のように見える場合もある。宮古で言う「アオズズ」の「アオ」部分もカモシカが暗褐色ため「アオ」と表現され、加えて季節により冬毛に生え替わり毛色が変化するからだと思われる。また「鹿子」と書いて「しし」と読み、宮古地方に伝わる郷土芸能では「鹿子踊」で「ししおどり」とする。これらの踊りに使われる仮面やかぶり物は森に棲むすべての動物の特徴を加味しており、まさに森の精霊を具現化した権現でもある。
↑ あの語句一覧へ戻るアオタンツポケ
裏成りびょうたん。不健康の意味。語彙は日陰で育った「青丹(あおたん・ユウガオ、ヘチマなど)」で作った「ツポケ(筒・ユウガオなどの実をくり抜いて乾燥させた筒状の容器)」はすぐに壊れて役に立たないという意味。転じて陽にも当たらず家に閉じこもっている人は病弱で役立たずだという意味。
↑ あの語句一覧へ戻るアオノロス
ヘビ。アオダイショウのこと。宮古地方では比較的よく見られる蛇。体長は1m50cmほどで宮古に生息する蛇としては大型。色は暗い深緑色なので「アオ」の名がある。しかし、「ノロス」の意味は不明で、「のろのろしいもの(古語)」で呪うべきもの、忌まわしいものという意味もあるが、蛇類にまつわる奇談は畑を荒らすモグラや野ネズミを補食する有用動物であることから、むやみな殺生を防ぐため創作されたもので、蛇=呪・祟りというのは短絡的だ。また、野原などに生息するから、蛇にしては歩行が遅いことから「のろのろしたもの」という意味かもしれないが、「アオノロス」の語源の確定は不明のままだ。
↑ あの語句一覧へ戻るアガ
磯漁業などに使われる小型船の船底などに溜まった水の総称。仏教用語で水を表わす「閼伽」が語源。船底に溜まった水を掻き出す道具は「アガカギ」と呼ばれる。英語で水を意味する「aqua」が宮古流にナマって「アガ」となったとする説もあるが、「アガ」は宮古地方に英語的言葉が入り込む以前より船関係の言葉として存在していた可能性があり、英語がら転用されたという説は近代的な語呂合わせであり方言の発生としては無理がある。
↑ あの語句一覧へ戻るアガツヅ
赤土。「ネンドツヅ/粘土土」とも言う。数千万年のあいだに岩石が風化した土で雨などにより岩石の中に含まれる水溶性成分の多くが洗い流され鉄などの酸化物が濃縮した土。植物の根が張りにくく水はけの悪い土で畑作や水田には不向き。しかし、水分を含んだ状態で成形しのちに水分を飛ばせば陶器などの器や煉瓦なども作れる。宮古市では崎山地区に多い地層で、この土を利用して縄文時代の崎山貝塚を含む遺跡が作られたり、ラサ工業宮古精錬所がフル稼働していた昭和30~40年代には溶鉱炉で使用する耐火粘土を産出していた。
↑ あの語句一覧へ戻るアガハラ
イモリ。または婚姻色が出た大型のウグイ。ウグイに限らず淡水魚の仲間は一生を川で過ごす陸封型と、サケのように海へ下りて数年後生まれた川へ戻り産卵する種類や、一端海へ下りてその後は淡水と海水が交じる河口で暮らすものがある。ウグイも種類によって海へ下り産卵のため川に戻る種があるようだ。また、魚類は産卵に適する時期になると腹や側面、背びれなどに赤色の婚姻色がでることが多く、ウグイの他アユ、アブラメなどもこの傾向が見られる。
↑ あの語句一覧へ戻るアガリダン
階段。「ハスゴダン/梯子段」とも言う。おもに一階から二階に上がる階段を指す。昔の農家などには二階はなく、二階建ての家は町屋に多かった。一階と二階は階段でつながっているがその角度はかなりきつく、まさに梯子段と呼ぶにふさわしい急勾配だった。
↑ あの語句一覧へ戻るアギタ
顎(あご)。古語で顎を意味する「アギト」が転訛したもの。人の顎のようなものではなく大型の肉食獣の顎や、鋭利な牙がずらりと並んだ鮫(サメ)、鰐(ワニ)の顎をイメージしている。
↑ あの語句一覧へ戻るアギレソッケール
あきれて反対側に倒れてしまうほどだ、という意味。語彙は「あきれて」「反りかえる」、あるいは「あきれて」「卒倒」する。何事かの事象や、返答に対して怒ったり反論したりすることを通り越してそのまま倒れてしまいそうだという意味。
↑ あの語句一覧へ戻るアグド
(身体の)かかとのこと。江戸時代の享和2年(1802)から文化11年(1814)にかけて初刷りされた十返舎一九の滑稽本の中に「あくとの中へ石ころがつっぱいって…」という記述がある。よって宮古弁の「アグド」は「アクト」の「ト」に濁音がついただけであり、発生は古語の「アクト」に準じる。このような古語テイストの方言を多く含む宮古弁は、宮古・閉伊地方が長い間陸封された閉鎖空間であり言葉による文化の刷新が遅れた結果と思われる。
↑ あの語句一覧へ戻るアサナガリ
朝の食事。食べ物が身体の中を流れるという意味。「アサナガレ」とも言う。反対語は「ヨナガリ」「ヨナガレ」でありこれが短縮化して、大漁や豊作に伴う夜仕事で食べる夜食を意味する「ヨナガ」になった。
↑ あの語句一覧へ戻るアスカゲントル
人のあげ足をとって困らせる。通常歩行や直立状態にある者のリズムを狂わせ歩行困難にしたり、転ばしたりする悪意ある行為全般。転じて正常なリズムで事が運んでいる状態を故意に攪乱させ、失敗に導こうとする行為のこと。
↑ あの語句一覧へ戻るアズギバットー
きしめんのような、平麺をアズキ餡にからめた食べ物。山梨地方の「ほうとう」という郷土料理が変化したものと考えられる。俗に言う「法度」「御法度」とは無関係。「アズキ」「ほうとう」が短縮されたもの。
↑ あの語句一覧へ戻るい
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イガゲヤ
鋳掛屋。穴が空いた鍋や釜などを修理する職人、または出張修理を商売としていた職人。修理は「しろめ」と呼ばれる亜鉛やスズなどの合金を溶かし込んで穴を埋めたが、修繕部分から有毒の重金属が溶け出すので現在は行われていない。
↑ いの語句一覧へ戻るイステングラ
防波堤などの磯釣りでアイナメと混じって釣れる。幼魚は防波堤側面や干潮の潮だまりで見られる。アイナメによく似ているがアイナメより褐色で尾びれが丸いのが特徴。「イステグラ」とも呼ばれる。
↑ いの語句一覧へ戻るイダコサン
イタコ。巫女、神子。厳密には亡くなった仏の口寄せをするのが「イタコ」、祭りの湯立て神事などで神の託宣を語るのは「神子(みこ)」とされるが、両者の確固たる境界は存在しない。宮古では両者を総称して「イダコサン」と呼ぶ。
↑ いの語句一覧へ戻るう
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ウマッコトビ
馬乗り遊び。器械体操の「跳馬」を模した子どもの遊び。2チームに分かれ一方が馬、一方が跳び手になる。跳び手は馬を崩すように助走をつけて乱暴に飛び乗る。全員乗ったら先頭同士がジャンケンをして次の攻撃権を争う。過激な遊びのため首や脊髄を痛めるので最近はあまり見かけない。
↑ うの語句一覧へ戻るえ
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エチオピア
シマガツオという魚の俗称。北太平洋の温帯の海域に生息。全長は約1メートル。身体は薄く平らで長い胸びれが特徴。エチオピアの名は東京オリンピックのマラソン競技で1位となったアベベ選手の顔に似ているという魚市場での隠語がそのまま広まったもの。近年はトロール漁の水揚げも減り見かけることは少ない。
↑ えの語句一覧へ戻るお
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オオキニ
宮古流のありがとう。関西系の「オーキニ」を真似たものと考えられる。これは幕末から明治にかけて港経由で文化が入った宮古において、荷受け荷揚げなどで外来船の関係者が使う言葉を港地域である鍬ヶ崎界隈の人々が真似て宮古弁として定着したと推測される。宮古の「オオキニ」は関西系の「オーキニ」とはイントネーションはまったく違うことから、関西、特に京都と歴史的関係があるとするのは明らかに間違い。
↑ おの語句一覧へ戻るオカコ
御水主と書く。南部藩が管理し宮古の閉伊川河口に繋留していた「宮古丸」などの船舶を操作したり手入れするための役に就いていた人たち。宮古丸は何度も竣工したが一度も就航することもなく河口で朽ち果て、御水主たちも宮古代官所下役として様々な仕事をやっていたようだ。
↑ おの語句一覧へ戻るオガヘッツリ
ちょっと抜けている人。「ヘッツリ」とは鍋釜の底部分。鍋釜の底を直接陸(地面)につけて煮炊きをしようとしてもまったく煮えないことを言い当て、気が利かず役立たずな人という意味。
↑ おの語句一覧へ戻るオツケゼーグ
精度が悪い適当な仕事。「オツケ」は強引に板などを打ち付ける様を、「ゼーグ」は「細工」を意味する。従って基準寸度、寸法、立付け、素材などをまったく無視した雑な突貫仕事の意味。
↑ おの語句一覧へ戻るオビヤ
産屋の転訛。出産のために設えた部屋。出産はめでたい慶事であるが、妊婦の出血もともなうため「穢」とされた。そのため出産に関係した事象に関わった人や家族は祝い事などを何日か慎まなければならなかった。
↑ おの語句一覧へ戻るオマンゼーカラ
ガガイモ(植物)。茎や葉を折ると乳白色の汁がでるツル性植物。野原や河原などで普通に見かける。秋口になると15センチほどの実が割れて綿毛の付いた種が 出る。この綿毛が耳に入ると耳が聞こえなくなるという迷信がある。また、日本神話の一説よるとガガイモの殻を舟にして日本へ渡った神がいるという記述がある。
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